
非上場会社が自己株式を取得した際の税務調整について
自己株式の取得は、原則禁止されていたが、平成13年の商法改正で原則自由とされた。税務上、株式公開会社が自己株式を市場で買い付けた場合等を除き、会社が自己株式を取得した際には、交付金銭から取得資本等金額を超える部分について利益積立金を減少させる処理を行うこととなる。具体的には、
 が減少する利益積立金となる。
また、減少した利益積立金は、売却した株主にとってはみなし配当となるため、自己株式を取得した会社には源泉徴収義務が生じる。
自己株式の取得に係る手数料の取扱いについては、会計上は営業外費用であったが、税務上は従来、有価証券と同様の取扱いをされており、取得価額に算入することとされていた。したがってH 17年4月1日から始まる事業年度以前は、会計上費用処理された手数料については、税務上、別表4で留保・加算する調整が必要であった(設例1参照)。
平成18年度改正により、自己株式の取得は、株主への資本の払い戻しと捉えるようになったため、手数料は取得した期の損金になるものと考えられる。このため、税務上特段の調整を行う必要はなくなった(設例2参照)。
その他、平成18年度改正では、種類株ごとに区分して、みなし配当の計算を行うこととなった(設例3参照)。具体的には、優先株等を発行していた法人の場合、下記の算式によりみなし配当を認識する。

[設例1]
資本金1,000万円、資本積立金200万円、発行済株式の総数240株の非上場会社(平成18年3月期決算)が、H17年7月に自己株式30株を240万円で買い受け、手数料72,000円を支払った際の経理処理は以下のとおりである。申告調整は行われていない。正しい申告調整を示せ。 なお、株式の種類はすべて普通株式とする。
(経理処理)

[解答]
(みなし配当の計算)
(源泉所得税)
900,000×20%=180,000
(経理処理)
(税務上の仕訳)
なお、当初の経理処理では、源泉所得税を控除していない。法人であれば源泉徴収義務者となるため、源泉所得税を追加で納める必要が生じる。
[設例2] 資本金1,000万円、資本積立金200万円、発行済株式の総数240株の非上場会社(平成19年3月期決算)が、H18年7月に自己株式30株を240万円で買い受け、手数料72,000円を支払った場合の経理処理及び申告調整を示せ。なお、株式の種類はすべて普通株式とする。
[解答]
(みなし配当の計算)
(源泉所得税)
900,000×20%=180,000
(経理処理)
[設例3] 資本金1,000万円、資本積立金200万円、発行済株式の総数240株の非上場会社(平成19年3月期決算)が、優先株100株を発行し、払込金額1,000万円をそれぞれ資本金500万円、資本準備金500万円に計上した。その後、H18年7月に優先株のすべてを発行時の払込金額と同額で取得した場合のみなし配当の金額を示せ。
[解答]
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